ヒト Homo sapiens
略号
MP : マクロ(macro photo)
SM : 実体顕微鏡(stereo microscope)
LM : 光学顕微鏡(light microscope)
SEM : 走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)
TEM : 透過電子顕微鏡(transmission electron microscope)
Last update : 2016.05.21
おことわり
繊維の「繊」という漢字は、一時期「線」を使って線維と表記するよう、旧文部省が強く指導した時代があった。しかし、繊維は fiber であって、線 line とは意味が異なる。1970年代の日米繊維摩擦をきっかけに、繊維業界が新表記に反発したため、旧文部省はどちらを使ってもよいと態度を改めた。医学領域では慣習的に今でも線維が広く使われているが、本サイトでは、本来の正しい表記である繊維を使うことにする。

角膜 cornea (LM、準超薄切片、アズールII染色)
角膜の厚さは 0.5 mm 程度である。この写真の右端では 530 μm と計測できる。組織構造の説明は、次の 2枚の高倍写真を参照。

角膜の外層 outer layer of the cornea(LM、準超薄切片、アズールII染色)
この写真には、BMで示したボーマン膜 Bowman’s membrane をはさんで、角膜上皮 corneal epithelium と角膜実質 corneal stroma (固有層ともいう)が見える。角膜上皮は、厚さ 40 μm 程度の重層扁平上皮であり、表面に近い上皮細胞ほど扁平であることが分かる。ボーマン膜は、やや濃染する厚さ 2 μm 程度の層(上皮細胞の基底板)と、その下の淡染する厚さ 8 μm 程度の層の 2層からなるが、教科書的には 1層と記述される。実質は、大部分が細胞外物質からなり、ところどころに濃染する扁平な繊維芽細胞が散在する。この細胞外物質の主成分は I型コラーゲンというタンパク質である。

角膜の内層 inner layer of the cornea(LM、準超薄切片、アズールII染色)
この写真には、DMで示したデスメ膜 Descemet’s membrane をはさんで、角膜実質と角膜内皮 corneal endothelium が見える。角膜内皮は厚さ 2〜3 μm であり、1層の扁平な内皮細胞からなる。デスメ膜は厚さ 10〜12 μm であり、ボーマン膜に似た均質な層である。
角膜は長いあいだ、5層からなると言われてきた。外層から角膜上皮、ボーマン膜、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮である。ところが 2013年に、角膜実質とデスメ膜との間に、空気注入により分離しやすい厚さ10 μm程度の新たな層が存在することが Dua らによって発見され、デュア層と名付けられた。この層は、形態学的には角膜実質の一部であり、他の層のように明瞭な境界線を引くことはできない。しかし、力学的に考えると、最も内側に位置する繊維芽細胞の更に内側にある細胞外物質の層が、細胞よりむしろデスメ膜と強く接着していると仮定すれば、線維芽細胞のところで剥離が起きやすいことが十分理解できる。

網膜 retina(LM、水浸、準超薄切片、アズールII染色)
網膜は10層からなる。上(眼球壁の内面側)から、内境界膜 inner limiting membrane、神経繊維層(医学系では神経線維層) nerve fiber layer、神経節細胞層 ganglion cell layer、内網状層 inner plexiform layer、内顆粒層 inner nuclear layer、外網状層 outer plexiform layer、外顆粒層 outer nuclear layer、外境界膜 outer limiting membrane、桿体錐体層 rod and cone layer、網膜色素上皮 retinal pigment epithelium (RPE) の10層である。左上のように太い網膜血管があるところでは、この10層構造がやや歪む。

視細胞 photoreceptor cells(LM、油浸、準超薄切片、アズールII染色)
網膜色素上皮から外網状層までの網膜外層。視細胞は典型的な双極性の神経細胞で、細胞体を外顆粒層にもち、樹状突起に相当する内節と外節を桿体錐体層に、軸索を外網状層に伸ばす。明所視で色を感じる錐体細胞 cone cell と、暗所視で明暗だけを感じる桿体細胞 rod cell の2種類の視細胞 photoreceptor cell がある。錐体細胞は機能的には赤、緑、青を感じる3種類がある。

脳のゴルジ標本 Golgi preparation of the brain(LM、樹脂切片、ゴルジ染色)
1906年に第6回ノーベル賞を受賞し神経解剖学の父と呼ばれる、カハール博士 Santiago Ramón y Cajal が作成したプレパラート。材料は、おそらくヒトかネコ、少なくとも哺乳類の脳。やや小型の三角形の細胞は錐体細胞 pyramidal cell である。この写真は、筆者がマドリッドのカハール研究所で講演するために訪問した際、プレパラートの観察と撮影の許可を得て、持参したカメラとアダプターを研究所の顕微鏡に取り付けて撮影した。
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